

美観を保つためのWAX
今と違って、昔の自動車塗装はラッカー系塗料を使用していたため、耐候性(UV・酸性雨など)に劣り、光沢など「美観」の維持が困難でした。
昭和25年あたりから一般的に「WAX」が普及し始め、対候性の悪さから来る光沢の減退を緩和しようと「WAXがけ」をするようになったと聞きます。
「美観」を保つために塗装面に何かを乗せて保護をするという行為の始まりです。
WAXの種類
固形WAXから半ねりWAX、液状WAXなど色々な性状のWAXが目的によって作られ、しばらくの間WAXの時代が続きますが、その間に自動車の塗装が劇的に進化し、WAXを塗るメリットは減り、WAXを塗る時の傷・WAXカスの残りなどデメリットの方が多くなってきました。
WAXからコーティングへ
WAXに変わるもの、つまりはコーティング(ポリマー)が出始めたのが20年くらい前です。
塗装の保護効果が強いポリマーは約15年前に、強い無機系(ガラス系が主流)コーティングの出現は10年ほど前です。
ここ10年ほどで無機系コーティングは進化して来ました。
当初は「墓石」や「ビルの外壁」などに塗られていたものを「車の塗装」に合うように配合されたものや、はじめから「車の塗装」用に開発されたものまで多種多様で、プロ用のもの、DIY用の物まで含めると相当な種類に及びます。

ワックスは
WAXの主成分は蝋と石油系溶剤で構成され、簡単に言うと油です。
WAXは塗装面に塗布することで深い艶を演出する事が出来ますが、被膜は不安定で半液体で塗装面に乗っています。
耐熱性も低く簡単に蒸発し、雨や洗車で簡単に油脂分が流出し、残った蝋分が角質化して水垢の原因になります。また、持続期間も約1ヶ月ていどと短命です。
ワックスは油が主な成分です。大気中の汚れ(排気ガス)も油が多く含まれています。これが溶け込んで水アカになります。ワックスを塗り重ねることで、水アカのかたまりができツヤボケや黒ずみの発生の原因にもつながります。
コーティングは
これに対してポリマー系コーティング(ここではポリマー系のコーティング)は、シリコーンやフッ素などを含んだポリマー(高分子重合体)で構成されています。
このポリマーは架橋反応で、分子が結合している強靭な被膜を塗装面上に形成し、被膜内に各種の汚染物質が進入するのを防ぎます。
耐熱性や耐候性もワックスの比ではありません。効果の持続期間も約3ヶ月から約1年と長い(例外もある)のが特徴です。
塗装面にできた小さい傷をコーティング膜で保護することで汚れの浸透を防ぎます。
もちろん、しばらくすると汚れは付きますが、汚れは落ちやすく、メンテナンスを繰り返すことで、コーティング皮膜は強くなり、ますますキレイになります。

コーティングを大別すると、「ポリマー系」(有機)コーティングと「ガラス系」(無機)二種類のコーティングに大別できます。
ポリマー系コーティングにほぼ共通した特長
・簡単に極微細な傷を埋めて艶と光沢を出す事が出来る。
・施工料金が手頃な価格帯のものが多い。
・施工時間が比較的短いため、待っている時間で出来上がるもの(例ピュアキーパー)や、車を預ける時間が短くて済むもの(例クリスタルキーパー)が多い。
ポリマー系コーティングの欠点とは
・WAXよりははるかに寿命が長いが、有機物なので早かれ遅かれ必ず劣化する。
・定期的に被膜のメンテナンスが必要になり、メンテナンス期間も比較的短い。
・ポリマー系(例えばポリエチレン)は 丈夫だが、長い年月を掛けて 紫外線によって酸化する。
ガラス系などの無機コーティングの特長
・ 耐候性・耐熱性・耐薬品性に優れ、酸化劣化しにくい被膜で超長寿命である。
・ ごく自然な発色と艶と光沢。
・強い撥水性(例ダイヤモンドキーパー)と、汚れにくくなる親水性(例アクアキーパー)が選べる。
ガラス系などの無機コーティングのデメリット、欠点
・無機の被膜であるために、無機の汚れ(ミネラルなど)が固着しやすく、水シミとなって、非常に取りづらい。(ダイヤモンドキーパーはハイブリット化で解決)
・ 施工料金が高額の場合が多く、施工時間も掛かり、特に鏡面研磨を伴う場合は2日間以上車を預ける必要の場合がある。
・ガラスは無機物なので長い年月でも劣化しない。
これらの特長と欠点はいずれも一般的に言えることであり、製品によっては例外もある事を付け加えておきます。

選ぶ基準は、人それぞれが持っている感性やクルマとの付き合い方によって変わると思います。
確かに高額なコーティングは性能的に優れていますが、必ずしもそのユーザー様に合っているかどうかと言うと、そうでない場合もあります。
車両の保管状況や月間の走行距離や使用目的などによっても変わると思います。
ポイント1
ポリマー系・ガラス系のどちらが優れている?ではなく、ユーザーが愛車とどのように付き合っていくか、自分のカーライフスタイルで選ぶ事を強くお勧めします。
ポイント2
選択に悩んだときには、施工店に出向いて話を聞き、お店とスタッフを見て、施工済みの車両があれば見せてもらいましょう。これもひとつの選択支です。
ポイント3
メンテナンスフリーのコーティングは存在しません。また、不意な塗装のトラブルに見舞われる事があるかも知れません。メンテナンスメニューの充実や何かあった時に相談できるお店で施工することも選ぶ重要なポイントではないでしょうか。