フロントガラス用プロテクションフィルムとは?施工価格・DIY方法・車検対応まで徹底解説のアイキャッチ画像

プロテクションフィルムは、車の外装に専用フィルムを貼ることで、飛び石や傷から守る施工方法です。ガラスコーティングと似た効果を持ちながら、厚みは約150倍以上あり、物理的なダメージに特に強いのが特徴です。従来はボディへの施工が主流でしたが、最近ではフロントガラス専用のプロテクションフィルムも登場しています。

施工を検討しているものの「効果や施工価格が分からない」「DIY施工ができるか気になっている」という方もいるのではないでしょうか。この記事では、フロントガラス用プロテクションフィルムの特徴や価格、DIY施工の可否、車検対応などを分かりやすく解説します。

フロントガラス用のプロテクションフィルムとは

フロントガラス用のプロテクションフィルムとは

フロントガラス用のプロテクションフィルムは、透明な特殊フィルムでガラス表面を覆い、外的ダメージから守るアイテムです。従来のカーフィルムが主に紫外線カットやプライバシー保護を目的として車内側に貼るのに対し、プロテクションフィルムは外側に施工し、飛び石や衝撃による「キズ」や「ヒビ」などを防ぐことが主な目的です。

素材はPET層やポリウレタン層を重ねた構造になっており、対傷性や撥水性を高めるためにトップコート層が施されているのが特徴です。近年は施工性に優れたポリウレタンタイプも登場し、技術革新によって幅広い車種に対応できるようになりました。施工後の可視光線透過率もほぼ変わらないため、ナビやドラレコにも影響しにくい仕様となっています。

フロントガラス用のプロテクションフィルムの効果

フロントガラス用のプロテクションフィルムの効果

前述のとおり、フロントガラス用プロテクションフィルムは、従来の車内側に貼るカーフィルムとは似ているようで役割が異なります。フロントガラス自体を直接守るために開発されたもので、外部からの物理的なダメージに対応できるのが大きな特徴です。

ここでは、プロテクションフィルムならではの具体的な効果について、詳しく紹介していきます。

飛び石のダメージを大幅に軽減できる

走行中に飛んでくる小石や砂利は、フロントガラスに衝突し、ヒビや割れを引き起こす原因となります。特に高速道路を頻繁に利用する方や、前方に大型車両がいる場面では注意が必要です。

フロントガラス用のプロテクションフィルムを施工しておけば、こうした飛び石の衝撃を大幅に吸収・拡散し、ガラス自体へのダメージを最小限に抑えられます。フィルムが一時的に傷ついても、ガラス交換のような大きな修理費用を回避できるため、コスト面でも大きなメリットがあります。

ワイパーキズを防げる

砂埃や汚れがワイパーに付着したまま作動させると、ガラス表面に細かい線キズが入ってしまうことがあります。フロントガラス用のプロテクションフィルムを貼っておけば、こうしたワイパーキズからガラスをしっかり保護できます。

フィルム表面にはトップコート層が施されており、対スクラッチ性能にも優れているのが特徴です。ただし、フィルムを貼ることでガラス表面の厚みがわずかに増すため、ワイパーとの摩擦が強くなり、車種によっては「ビビり音」が発生するケースもあります。気になる場合は、専用ワイパーに交換するなど対策を検討しましょう。

紫外線カット効果で車内を保護してくれる

フロントガラス用プロテクションフィルムには、紫外線をカットする機能を持つ製品もあります。UVカット性能によって、車内に入り込む紫外線量を抑え、肌へのダメージ軽減やシートなどの劣化や色あせを防止しやすくなります。直射日光の影響を受けやすい夏場でも、室内温度の上昇をある程度緩和できるため、快適性向上にもつながるでしょう。

ただし、従来のカーフィルムと比べると、赤外線カット率は低めの製品が多く、全く同じ効果を得られるわけではありません。特に、夏場のじりじりとした暑さを軽減したい場合は、一般的なカーフィルムを選んだほうが適しているケースもあります。目的に応じて使い分けることが大切です。

フロントガラス用プロテクションフィルム施工について

フロントガラス用プロテクションフィルム施工について

フロントガラス用プロテクションフィルムは、従来の車内側に貼るカーフィルムとは全く別物です。そのため、施工料金や寿命なども大きく異なります。また、外側にフィルムを貼る施工方法だからこそ、撥水性能や車検への影響について気になる人も多いでしょう。

ここでは、施工前に知っておきたい基本的なポイントをわかりやすく解説していきます。

プロテクションフィルムの施工料金

プロテクションフィルムの施工料金は、選ぶフィルムの種類や施工業者、車種によって異なります。カーケア用品で知られるソフト99が運営する施工専門会社「SOFT99オートサービス」でも、車両クラスやフィルムによって以下の通り価格が設定されています。

車両クラス ・SAWRE
TPU(熱可塑性ポリウレタン)タイプ
KAMUY
PET(ポリエチレンテレフタレート)タイプ
ベーシッククラス
(400万円未満)
55,000円~ 88,000円~
ミドルクラス
(400万円~800万円未満)
66,000円~ 99,000円~
プレミアムクラス
(800万円~1600万円未満)
77,000円~ 110,000円~
スーパーカークラス
(1600万円~3200万円未満)
88,000円~ 121,000円~
プレミアムスーパークラス
(3200万円以上)
99,000円~ 132,000円~

参照:FRONT GLASS PROTECTION FILM|SOFT99 AUTO SERVICE

他の施工店でも、フロントガラス用プロテクションフィルムの施工料金は10万円前後に設定しているお店が中心でした。フロントガラスを交換する場合、数十万円かかる車種もあるため、この費用でガラスを守れると考えれば、十分に施工する価値はあるでしょう。

プロテクションフィルム施工後の車検

プロテクションフィルムを施工しても、基本的に車検で指摘されることはありません。道路運送車両法では、運転に必要な視野確保のため、可視光線透過率70%以上が求められており、貼り付け自体を禁止するルールはないためです。外側のプロテクションフィルムも、内側のカーフィルムも施工自体に問題はありません。

ただし、色付きフィルムで透過率が70%未満になると車検に通らないため注意が必要です。透明フィルムでも、経年劣化で黄ばみ、透過率が落ちる可能性があります。施工直後に問題となるケースは少ないですが、推奨されている交換目安は守るようにしましょう。また、施工後に透過率を測定し、保証書を発行してくれる施工店を選ぶのも安心です。

プロテクションフィルムの撥水力

プロテクションフィルムの中には、雨天時の視界を確保するため、表面に撥水性を持たせた製品も多くあります。ただし、すべてのフィルムに撥水効果があるわけではなく、また効果が永久に続くわけでもありません。

撥水効果が落ちた際に市販の撥水コーティングを施せるか、複数の施工店に確認したところ「施工自体は可能だが、ガラス面と同じような寿命や効果を保証できるかは分からない」との回答でした。

さらに、フィルム表面に撥水剤を使用すると、製品との相性によっては黄ばみや白濁を招くリスクもあります。対策を検討する際は、必ず施工店やメーカーに確認を取り、指示に従うようにしましょう。

プロテクションフィルムの寿命

フロントガラス用プロテクションフィルムは、ほかのフィルムと比べても消耗しやすい製品です。一般的な寿命は1年から2年と言われていますが商品によって大きく異なります。また、保管場所や使い方、日々の手入れによって大きく左右され、特に直射日光の当たる場所に長時間停めているような場合は劣化が早まる傾向にあります。

撥水性のトップコートは1か月程度、フィルム本体も半年ほどで劣化してしまうケースもあります。また、安価なフィルムは耐久性が低いことが多く、さらに飛び石によるダメージやワイパーキズが目立ってきた場合には、基本的に貼り替えが必要です。より具体的な寿命について知りたい場合は、施工店のスタッフに相談してみましょう。

フロントガラス用プロテクションフィルムのDIY施工について

フロントガラス用プロテクションフィルムのDIY施工について

画像引用元:FRONT GLASS PROTECTION FILM|SOFT99 AUTO SERVICE

プロテクションフィルムは年々需要が高まっており、それに合わせてDIY用の商品も多く販売されるようになってきました。フロントガラス用のフィルムも例外ではなく、専門店に依頼せず自分で施工を検討する人も増えています。

ここでは、フロントガラス用プロテクションフィルムをDIYで施工する際の基本情報や注意点について解説します。

プロテクションフィルムはDIY用のものも販売されている

プロテクションフィルムの施工は、専門知識と高度な技術、さらに施工に適した環境が必要とされます。ただし、ヘッドライトやドアハンドル、バンパーなどの一部分であれば、DIY施工も可能です。実際に通販サイトやオートバックスなどでは、ヘッドライト用やサイドステップ用のフィルム、さらには切り売りタイプの商品も販売されています。

フロントガラス用についても、種類は少ないもののDIY向け商品が出ており、ソフト99オートサービスでも通販セットが用意されています。ただし、すべての車種に対応しているわけではないため、購入前に自分の車種に合うかを必ず確認しましょう。

YouTubeなどでは実際にDIY施工している動画も多数投稿されているので、気になる方は参考にしてみてください。ちなみに、販売価格はおおよそ3~4万円程度です。

プロテクションフィルムをDIY施工する際の注意点

DIY用プロテクションフィルムは、誰でも施工しやすいように改良されていますが、施工の際には以下の内容に注意しましょう。

施工環境の確保:ゴミやホコリの混入を防ぐため、風のない屋内で作業する
下地処理の徹底:施工前に鉄粉除去や洗車を行い、表面を清潔にする
カッター使用時の注意:フィルムのカット時に車体を傷つけないようにする
フィルムの取り扱い:フィルムは非常に薄くいため、折れやシワが入らないようにする

この他にも、車種ごとにカットされているため、購入前には必ず適応車種の確認が必要です。1メートル単位で計り売りしている業者もあります。

フロントガラス用プロテクションフィルムのデメリット

フロントガラス用プロテクションフィルムのデメリット

フロントガラス用プロテクションフィルムは、高い保護性能を持ち、飛び石やワイパーキズからガラスをしっかり守れる優れた商品です。ウインドウコーティング以上の効果を発揮する一方で、施工を検討する前に理解しておくべきデメリットもあります。

ここでは、フロントガラス用プロテクションフィルムの主なデメリットについて紹介します。

施工費用が高い

窓に施工するものとしては、撥水効果や防汚性能を持つウインドウコーティングや、紫外線・赤外線をカットするカーフィルムがありますが、それらと比べてもプロテクションフィルムは施工費用が高額です。フロントガラス用プロテクションフィルムは、施工費用が10万円を超えることも珍しくありません。

さらに、数年ごとに張り替えが必要になるため、トータルコストもかさみます。普段使いの飛び石やワイパーキズ対策として、気軽に施工できるものではない点は押さえておきたいところです。

車内の暑さ対策ができない

フロントガラス用プロテクションフィルムには紫外線カット効果が付いているものの、じりじりとした暑さの原因となる赤外線(IR)カット効果は高くありません。

そのため、室内温度の上昇を抑える目的であれば、カーフィルムの方が優れています。今後、赤外線カット性能が改良される可能性もありますが、現時点では暑さ対策を最優先にしたい場合、カーフィルムを選んだほうが満足度は高いでしょう。

寿命が短く張替えにコストがかかる

フロントガラス用プロテクションフィルムの寿命は、使用環境にもよりますが1〜2年程度とされています。ボディ用フィルムであれば多少の劣化も目立ちにくく問題になりにくいですが、フロントガラスは透過率70%を下回ると車検に通らないため、劣化による張替えが必須になります。

また、再施工時にはフィルム剥がし作業が必要になることもあり、施工費用に加えて剥離代が別途かかるケースもあるため、事前に確認しておくようにしましょう。

フロントガラス用プロテクションフィルムが特におすすめなケース

フロントガラス用プロテクションフィルムが特におすすめなケース

フロントガラス用プロテクションフィルムは、高い保護性能を持つ一方で、施工費用が高額になるなどいくつかのデメリットもあります。また、オーナーが抱える悩みや車の使い方によっては、カーフィルムやウインドウコーティングといった別の手段で代用できる場合もあります。

ここでは、特にフロントガラス用プロテクションフィルムの施工をおすすめするケースについて解説します。

スーパーカーなどフロントガラスの交換費用が高い車

飛び石などでフロントガラスを交換する場合、一般的な車種では10~20万円程度の費用がかかります。これは、プロテクションフィルムの施工費用と大きな差がないため、コスト面でかなりお得とは言いづらい部分もあります。

一方で、ランボルギーニやベントレーといったスーパーカー、特殊車両では、フロントガラスの交換費用が40万円を超えるケースも珍しくありません。こうした高額な修理リスクを考えると、スーパーカーや高級車オーナーには、事前にプロテクションフィルムを施工しておくメリットが十分にあると言えるでしょう。

ヴィンテージカーなどフロントガラスの替えがない車種

ヴィンテージカーやクラシックカーの場合、フロントガラスの交換費用自体はそこまで高額でないケースもあります。
しかし、そもそもガラスの在庫が国内にないことも多く、見つかったとしても海外から取り寄せる必要があり、時間やコストが大きくかかる可能性があります。

貴重な車を長く乗り続けるためには、ガラスの破損リスクを減らす意味でも、フロントガラス用プロテクションフィルムの施工を検討する価値は十分にあります。

フロントガラス用プロテクションフィルムで愛車を守ろう

フロントガラス用プロテクションフィルムで愛車を守ろう

フロントガラス用プロテクションフィルムとは、ガラス表面に透明なフィルムを施工することで、飛び石によるヒビ割れやワイパーキズから守るためのアイテムです。施工料金は10万円前後とやや高額ですが、フロントガラスにフィルムを貼っても透過率を維持できるため、基本的に車検にも問題ありません。

寿命は1〜2年程度と短めで、張替えコストがかかる点もデメリットです。向き不向きも踏まえて最適な方法を選ぶことが大切です。費用を抑えたい方はDIY用の商品を検討する方法もあります。愛車の状態や目的に合わせて、最適な方法でフロントガラスをきれいに保ちましょう。

著者情報

株式会社カービューティーアイアイシー
代表取締役社長 舊役 哲史

2008年にガラスコーティング専門店の株式会社カービューテイーアイアイシーに入社
現在まで2,000台以上のカーコーティング,ガラスコーティングの施工実績を持ち、特に輸入車などの施工実績が豊富である。カーコーティングのオプション作業としてホイールコーティングの実績も豊富で様々な知識と技術力を有す。