バイクコーティングの効果と種類ごとの特徴について解説

近年、バイクコーティングを施工する人が増加しており、愛車をきれいな状態で維持するうえで欠かせない存在になりつつあります。コーティングと聞くと、多くの人が「輝きが増す」「汚れない」といったイメージを持ちますが「なぜそれが可能なのか」「具体的な効果はどうなのか」が気になる方もいるのではないでしょうか。

バイクコーティングにはさまざまな施工効果があり、種類によってもその内容は異なります。この記事では、バイクコーティングの具体的な効果や種類ごとの特徴をはじめ、専門店とDIY施工の違いなどもわかりやすく解説していきます。

バイクコーティングの主な効果とは?

バイクコーティングの主な効果について解説するイメージ

バイクコーティングは、愛車をきれいな状態で保つために役立つさまざまな施工効果があります。塗装の劣化を防いだり、見た目の美しさを引き出したりするだけでなく、汚れの付着を抑えることで洗車の手間も軽減できます。ここでは、代表的な4つの効果について解説します。

塗装表面の保護効果

バイクの塗装は紫外線・酸性雨・排気ガス・花粉・黄砂などにさらされることで徐々に劣化します。コーティングを施工することで、塗装の上に透明な保護膜が形成され、これらの外的要因から直接的なダメージを防げます。特にガラス系やセラミック系のコーティングは被膜が硬く、紫外線による色あせや細かな擦り傷の発生を抑制します。

保護膜がバリアとなって塗装面に有害物質が浸透するのを防ぐため、新車時の状態を長く保ちやすくなるのが大きな特長です。施工後しばらく経っても塗装の色あせや劣化が目立ちにくくなるため、愛車の見た目を長く良好な状態に保つうえで役立ちます。

光沢感や見た目の向上

コーティング剤には、塗装面の微細な凹凸を埋めて平滑化する働きがあります。表面がなめらかになることで光の反射が均一になり、深みのある艶や輝きを生み出します。特にセラミック系や高濃度のガラス系コーティングは屈折率の高い被膜を形成し、塗装の発色を際立たせる効果があります。これにより、もともとの色合いがより鮮やかに見えるだけでなく、光沢が増した印象になります。

また、専門店に依頼した場合は施工前に細かな線キズやくすみをしっかりと磨き上げる工程が含まれるため、光沢感がさらに引き立ちます。バイク特有の造形美や曲面の映り込みも際立ち、見た目の満足度が大きく高まります。「新車時よりもきれい」と驚く人も少なくありません。

汚れの付着を防ぐ防汚効果

コーティング被膜は親水性や撥水性、滑水性の性質を持ち、水や汚れが塗装面に付着しにくくなります。雨が降った際には水滴が弾かれて流れ落ちやすく、泥や排気ガスによる汚れも一緒に落ちるため、付着を最小限に抑えられます。加えて、表面が平滑化されることで、花粉や虫の死骸、油膜などが固着しにくくなり、日常的な使用環境でも清潔な状態を保ちやすくなります。

雨上がりに泥はねがあっても表面に汚れが残りにくく、長距離を走行した後でもその汚れにくさを実感できます。洗車後の美しい仕上がりも持続しやすく、見た目の劣化を感じにくくなります。普段の洗車でも汚れが固着していないため、強めに水をかけるだけでも洗い流しやすく、水分のふき取りも楽になります。

洗車の手間を減らすセルフクリーニング効果

コーティングされた表面は、雨水とともに汚れが流れやすい状態になるため、結果的に洗車の頻度や作業時間を減らす効果があります。特に親水性コーティングでは、水が薄い膜状に広がって汚れを抱き込んで流れる「セルフクリーニング現象」が起こりやすく、泥汚れや雨ジミの固着を防ぎます。

さらに、表面がつるつるになることでスポンジやクロスが引っかからず、軽い力で汚れが落ちる点もメリットです。日常的なメンテナンスが格段に楽になるのも、コーティング効果の一つといえます。こまめな洗車が難しい環境でも、一定の清潔感を維持しやすくなります。

関連記事:バイクコーティングのメンテナンス方法を詳細に解説

【種類別】
バイクコーティングの特徴と効果

【種類別】バイクコーティングの特徴と効果について解説するイメージ

バイクコーティングの効果について前述しましたが、これらは使用するコーティングの種類によっても内容が異なります。それぞれに特徴があり、持続性や仕上がり、保護性能などにも差があります。すべてが万能というわけではないため、自分の使い方や重視したいポイントに合ったものを選ぶことが大切です。ここでは、代表的な4種類のバイクコーティングについて、それぞれの特徴と効果を解説します。

ワックス系コーティング:短期間の艶出し

ワックスは、コーティング剤が普及する以前から使われていた艶出し方法のひとつです。塗装面に油分やロウ成分を塗り広げることで、一時的に深みのある艶を生み出します。厚みのある被膜が特徴で、しっとりとした光沢が魅力です。市販のDIY商品が豊富にあり、扱いやすく価格も安いため、誰でも手軽に施工できます。

ただし、耐久性は非常に低く、雨や水に触れるとすぐに効果がなくなるという弱点があります。また、残った成分が汚れと混ざって水垢の原因になることもあります。日常的な保護性能を求めるには不十分ですが、特別な日の前に愛車を美しく見せたいような場合におすすめです。

ポリマー系コーティング:軽い保護と艶

ポリマー系コーティングは、樹脂素材をベースとした比較的手軽な商品です。ワックスと比べて被膜がやや硬く、耐久性が1〜2か月ほどあるため、光沢と防汚性を両立したい方に適しています。施工後は独特の「ヌルテカ」した深みのある艶が出やすく、この質感を好むバイクユーザーも少なくありません。DIY商品が多く販売されており、専門的な設備がなくても個人で施工しやすいのも魅力です。

ただし、専門店ではあまり扱われておらず、長期間の保護力や耐候性を求めるに方には向いていません。まずは簡易的にコーティング効果を試してみたい方、低価格で見た目を整えたい方におすすめです。

関連記事:ポリマーコーティングのメリット, デメリットや自分で施工する方法

ガラス系コーティング:高撥水と擦り傷への耐性

ガラス系コーティングは現在主流となっているタイプで、ガラス成分を含んだ溶剤が塗装面に強固な被膜を形成します。耐候性・耐熱性・撥水性に優れ、ポリマーやワックスとは比較にならないほどの耐久性を持ちます。正しく施工し、定期的なメンテナンスを行えば3〜5年程度は効果を維持できるとされており、日常使いにも対応できる信頼性があります。

膜厚は比較的薄いため、艶の質感はしっとりというより透明感のあるシャープな印象になります。DIY用商品もありますが、仕上がりの均一性や施工精度を考えると、設備や経験を持つ専門店での施工がおすすめです。費用はやや高めですが、性能とのバランスに優れたコーティングです。

関連記事:ガラスコーティングはしない方がいいって本当?理由を徹底解説

セラミックコーティング:高い耐久性と深い光沢を両立

セラミックコーティングは、現在市販されているコーティングの中でも最上位クラスに位置付けられる種類です。硬度の高い無機質成分を多く含み、塗装面に強靭で厚みのある被膜を形成するため、擦り傷や紫外線、熱、酸性雨などに対して極めて高い耐性を発揮します。耐久年数も5〜7年程度と長く、定期的なメンテナンスを行えば長期間にわたって美しさを保つことが可能です。

艶に関しては、みずみずしい深みのある美しさが特徴です。施工には高い技術と環境が求められるため、専門店での施工をおすすめします。コストは高めですが、品質と見た目にとにかくこだわりたいような方におすすめです。

関連記事:セラミックコーティングとは?効果,費用,特徴と商品を徹底解説

バイクコーティングの効果の持続性

バイクコーティングの効果の持続性について解説するイメージ

コーティングの種類別の効果について解説してきましたが、もう一つ知っておきたいのがその持続性です。どれだけ高性能な商品でも、使い方や保管環境によって効果の持続期間は変わってきます。

特に、屋内と屋外での保管場所の違いや、直射日光・雨・砂ぼこりなどの影響は大きく、見落としがちなポイントです。ここでは、駐車環境やコーティングの種類ごとに、効果の持続性がどのように変わるのかを紹介していきます。

駐車場所(屋内/屋外)での持続時間の違い

普段の駐車環境は、コーティングの持続性に大きな影響を与えます。青空駐車の場合、常に紫外線や雨風、粉塵などにさらされるため、被膜の劣化が早く進みます。こまめに洗車やメンテナンスをしていればある程度の効果は保てますが、屋内保管と比べるとやはり短くなりがちです。

一方で屋内保管の場合は、外的要因からのダメージを受けにくいため、比較的長期間にわたって性能を維持しやすくなります。ただし、勘違いしてはいけないのは、「ガラスコーティングは3~5年」「セラミックは5~7年」とされる耐久年数は、あくまで定期的なお手入れと専門店によるメンテナンスを前提としたものだということです。もし施工後に青空駐車で何もしないまま放置した場合、最上位のセラミックコーティングでも1年ほどで効果が感じられなくなる可能性もあります。

種類別で異なる持続時間

コーティングの種類ごとに、持続時間にも大きな差があります。前述のように保管場所や手入れの有無によって変わる部分もありますが、そもそも使われている成分や被膜の性質によって耐久性が違います。ワックス系は最も短く、雨や洗車ですぐに流れ落ちやすいため、効果が感じられるのは数日程度です。夏場の高温にも弱く、こまめな塗り直しが前提です。

ポリマー系はそれよりやや長く、1~3ヵ月ほどが目安とされています。ガラス系コーティングは定期的なメンテナンスがあれば3~5年、セラミック系は5~7年とされていますが、どちらも放置していてこの期間を保てるわけではありません。とはいえ、適切に管理していれば、目安より長く持つケースもあります。種類によって手間と効果のバランスが異なるため、自分の使い方に合った選択が大切です。

関連記事:バイクコーティングの寿命は何年?種類ごとの目安と長持ちさせる方法

【比較】
コーティング専門店とDIY施工の効果

【比較】コーティング専門店とDIY施工の効果について解説するイメージ

コーティングの普及により、近年では自分で施工できるDIY商品も多く販売されています。ポリマー系やガラス系など種類も幅広く、価格も数千円から1万円程度と手ごろなものが中心です。

一方、専門店に依頼すると、内容によっては5万円〜15万円以上かかるケースもあり、同じ「コーティング」なのにこれほど価格差があることに疑問を感じる方もいるかもしれません。ここでは「効果」という視点を軸に、専門店とDIYそれぞれの特徴や注意点について解説します。

専門店での施工効果と特徴

コーティングは溶剤を塗って乾かせば終わりというものではありません。仕上がりや耐久性に大きく影響する工程に「下地処理」があります。専門店ではこの工程を重視し、車体全体の汚れや鉄粉、シミなどを徹底的に除去したうえで、目立たない細かな線キズまで丁寧に磨き上げます。そのうえで高品質なコーティング剤を塗布することで、塗装面との密着度が高まり、強く美しい被膜が形成されます。

さらに、純水処理装置や専用の施工ブース、熱乾燥装置などの設備を用いて、被膜の完全硬化まで行えることも大きな違いです。こうした環境と技術が整っているため、特に仕上がりや耐久性にこだわりたい方、すでに傷やシミなどがあるバイクに施工する場合は、専門店での施工をおすすめします。

関連記事:バイクコーティングは専門店がおすすめ!失敗しないお店選びのポイントと優良施工店を紹介

DIY施工で期待できる効果と注意点

DIYで使えるコーティング剤も増えてきましたが、専門店のような下地処理までは難しいといえます。自分で洗車してある程度の汚れを落とすことはできますが、鉄粉やシミを完全に除去したり、塗装面を磨いて整えたりするのは容易ではありません。そのため、仕上がりの艶感は得られても、被膜の密着度や耐久性はどうしても専門施工に劣ります。また、施工環境や乾燥設備も整っていないため、仕上がりにムラが出ることもあります。

市販の商品は、未経験者でも扱えるように施工性を重視しているものが多く、そのぶんコーティングとしての性能は抑えられている傾向があります。そのため、費用を抑えたい方や、まずは試しに効果を見てみたいという方にとっては、手軽に取り入れやすい選択肢といえます。

バイクコーティングの効果に関するよくある質問

バイクコーティングに関するよくある質問に答えていくイメージ

バイクコーティングの具体的な効果や種類別の特徴などについて解説してきましたが、施工を検討するうえでまだまだ気になることがあるという方もいるのではないでしょうか。ここでは、バイクコーティングに関する4つのよくある質問に答えていきます。

バイクコーティングって本当に必要?

普段の移動手段として使っているだけであれば、バイクコーティングは絶対に必要というものではありません。一方、愛車をできるだけきれいな状態で維持したいと考えているなら、コーティングは欠かせない存在といえるでしょう。施工後の見た目ははっきり違いが出ますし、何より洗車がぐっと楽になります。

水をかけるだけで軽い汚れが流れ落ち、撥水効果で水滴も拭き取りやすくなるので、作業時間も減ります。ブロワーを使えば隙間の水分も簡単に飛ばせて、乾拭きの手間も少なく済みます。実際に施工した人の中には「もうコーティングなしには戻れない」と感じている人も多く、見た目や手入れのしやすさを重視する人にとっては満足度の高い選択肢です。

関連記事:バイクコーティングは本当に必要?したほうがいい理由をプロが徹底解説

バイクコーティングが不要と感じるケースとは?

バイクコーティングについて調べると「後悔した」「意味がなかった」といった声も見受けられます。よくある理由は「高い費用をかけたのに数ヶ月で効果が感じられなくなった」「施工しても普段の使い勝手が特に変わらなかった」といったものです。

こうした不満の背景には、コーティングすれば何もしなくてよいという誤解があるケースが多く見られます。コーティングは汚れの固着を防いだり、洗車を楽にしたりするものですが、お手入れをしなくても美しさが保たれるというわけではありません。効果を正しく引き出すには、定期的な洗車やメンテナンスが必要です。こういった前提を理解せずに施工すると、期待とのズレが大きくなる可能性があります。

バイクコーティングの費用は?

バイクコーティングの費用は、使うコーティング剤の種類や施工する車体の大きさ、表面の状態によって変わってきます。おおよその相場は以下の通りです。

・ポリマーコーティング:25,000~35,000円
・ガラスコーティング:45,000円~85,000円
・セラミックコーティング:65,000円~100,000円

DIYであれば、コーティング剤が数千円から1万円程度、洗車セットなどを含めても2,000円前後で始められるため、かなり費用を抑えることができます。専門店の中でも価格に幅があり、安さを打ち出しているところもあれば、品質や仕上がりを重視した高価格帯のお店もあります。施工内容やサービスの違いを比較したうえで、自分に合ったお店を選ぶことが大切です。

関連記事:バイクコーティングの費用は?専門店と自分で施工する場合の料金差と安く抑えるコツを解説

バイクコーティングの効果を長持ちさせる方法は?

コーティングの効果を少しでも長く保ちたいなら、日頃の洗車がいちばんの基本です。屋外に駐車している場合は1〜2週間に1回、屋内であれば2〜4週間に1回のペースで洗車するのが理想です。また、使わないときはバイクカバーをかけておくだけでも、紫外線や雨の影響を減らすことができます。

加えて、半年から1年に1回は施工店で専用のメンテナンスを受けておくと安心です。傷んだ被膜の一部を修復したり、トップコートを重ねたりすることで、見た目と保護性能が復活しやすくなります。メンテナンスの費用は2万円~5万円ほどが目安で、施工内容や店舗によっても違いがあります。

まずはバイクコーティングの効果を実際に体感してみよう

記事をまとめるイメージ

バイクコーティングには、塗装の劣化を防いだり、光沢を出したり、汚れを落としやすくするなどの実用的な効果があります。使用するコーティングの種類によって、仕上がりや耐久性も異なります。また、こうした効果の持続性は、駐車場所や手入れの頻度によっても大きく変わってきます。

最近はDIY商品も増えていますが、専門店での施工と比べると、下地処理や設備面で大きな違いがあり、仕上がりや効果の耐久性で圧倒的な差がでます。まずはコーティングを施工したうえでその魅力を体感してみましょう。

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著者情報

株式会社カービューティーアイアイシー
代表取締役社長 舊役 哲史

2008年にガラスコーティング専門店の株式会社カービューテイーアイアイシーに入社
現在まで2,000台以上のカーコーティング,ガラスコーティングの施工実績を持ち、特に輸入車などの施工実績が豊富である。カーコーティングのオプション作業としてホイールコーティングの実績も豊富で様々な知識と技術力を有す。