
愛車をきれいな状態で維持するうえで欠かせない存在といえるバイクコーティングですが、その効果がどれくらい持つのかは、施工を検討するうえで非常に重要なポイントです。ネットで検索すると「すぐに効果が落ちた」といった声も少なからず見受けられますが、バイクコーティングの寿命は、その種類や施工先によって大きく変わります。
この記事では、コーティングの種類別の寿命の目安や、施工方法による違い、寿命を延ばすためのお手入れのコツなどをわかりやすく解説していきます。
バイクコーティングの寿命は3~7年!その理由とは?
バイクコーティングの寿命は一般的に3~7年とされています。これほど幅があるのは、使用するコーティングの種類が大きく関係しています。
中には施工しやすく費用も抑えられる反面、耐久性の低いタイプもあれば、価格は高いものの長期間にわたって保護効果が持続するタイプもあります。
また、製品によって保証期間が異なるため、どのくらいの期間メンテナンスを受けられるかも寿命に影響します。
さらに、同じ商品でもお手入れの頻度や駐車環境によって持ちが変わってくる点にも注意が必要です。このように、コーティングの寿命は選ぶ種類やその後の扱い方によって大きく変わることを理解しておくことが大切です。
バイクコーティングの保証期間と寿命の違いに注意
前述のとおり、バイクコーティングの寿命には、施工メニューごとに設定された保証期間も大きく関係します。
保証期間とは、その期間内であれば定期的なメンテナンスなどのアフターサービスを受けられる期間を指します。
バイクコーティングは、こまめなお手入れと定期的なメンテナンスによって保護効果を維持するため、保証期間が長いほど寿命も延びやすくなります。
もちろん、保証期間が切れたあとでも丁寧なお手入れや市販のメンテナンス用品で効果を保つことは可能ですが、やはり施工店でのプロによるメンテナンスが最も安心です。
長くバイクに乗り続けたい方は、保証期間の有無や内容にも注目しておくとよいでしょう。なお、保証期間の条件や内容は施工店によって異なるため、事前によく確認することが大切です。
バイクコーティングの種類別に見る寿命の違い
バイクコーティングには、現在主流となっているガラスコーティングのほかにも複数の種類があり、それぞれ寿命や特徴が異なります。
ここでは、代表的なポリマー・ガラス・セラミックの各コーティングについて、寿命の目安とあわせてその効果や特徴を紹介します。
ポリマーコーティング|2~3ヵ月
ポリマーコーティングの寿命はおよそ2~3ヵ月と短く、定期的な再施工が前提となります。主成分は合成樹脂で、塗装面に光沢を与えると同時に簡易的な保護膜を形成します。施工直後は「ヌルテカ」な深みのある艶が出やすく、手軽に艶出ししたい人におすすめです。
市販品が多く、スプレータイプや液体タイプなどを使ってDIYで簡単に施工できるのも特徴のひとつです。ただし、耐久性や耐候性は他のコーティングに劣るため、長期的な保護を求める方には不向きです。まずは手軽にコーティングを試してみたいという方には適していますが、専門店ではあまり採用されていない種類となります。
関連記事:ポリマーコーティングの寿命は?デメリットやメンテナンス方法を紹介
ガラスコーティング|3~5年
ガラスコーティングは現在もっとも一般的に使われているタイプで、寿命の目安は3~5年とされています。ガラス成分が塗装面に硬質な被膜を形成し、高い耐候性・撥水性・防汚性を発揮します。きちんとメンテナンスを行えば数年間効果を維持でき、日常的な使用にもしっかり対応できるコーティングです。
膜厚は薄めで、艶は透明感のあるシャープな仕上がりになるのが特徴です。DIY用の製品も増えていますが、施工ムラや定着のばらつきを避けるには、設備の整った専門店での施工をおすすめします。施工費用はポリマーより高めですが、寿命と効果のバランスに優れており、実用性重視の方に選ばれています。
関連記事:ガラスコーティングの耐久性とは?寿命を延ばす2つの方法
セラミックコーティング|5~7年
セラミックコーティングの耐久性は非常に高く、寿命は5~7年程度とされています。セラミック成分を含んだ溶剤が塗装面に厚く硬い被膜を形成し、紫外線や酸性雨、高温、擦り傷などに対して強力な防御効果を発揮します。深みのある艶としっとりとした光沢が出やすく、見た目の美しさを長期間保てるのも魅力です。
ただし、施工には高度な技術と専用設備が必要なため、ほとんどの場合専門店での施工が前提となります。価格は高めですが、保護性能と外観の美しさを長く維持したい方には最適です。バイクは車よりも施工面積が少ないことから、価格を抑えやすく、セラミックコートが主流になりつつあります。
関連記事:セラミックコーティングの寿命は?寿命を延ばす方法をプロが直伝!
バイクコーティングの寿命は普段のお手入れとメンテナンスで大きく変わる
バイクコーティングを施工すると、塗装面を紫外線や汚れから保護する強力な被膜が形成されますが、まったくお手入れが不要というわけではありません。屋外保管の場合は1〜2週間に1回、屋内保管であっても2〜4週間に1回の洗車が理想です。こうしたケアを怠ると、被膜は徐々に劣化していきます。
また、丁寧にお手入れしていても、経年劣化を完全に防ぐことはできません。そのため、半年〜1年に一度は施工店による専用メンテナンスを受けるのが理想です。ネット上には「すぐに効果が落ちた」といった声もありますが、これは適切なメンテナンスや洗車を行っていなかったことが原因である場合がほとんどです。
一方で、普段から丁寧なケアを続けていれば、保証期間を過ぎても十分な効果を維持できるケースもあります。バイクコーティングの寿命は、施工後の扱い方も影響することを理解しておきましょう。
バイクコーティング専門店とDIY施工の寿命の違い
コーティングの寿命は種類や施工後のお手入れによって左右されますが、実は「どこで施工するか」も寿命に大きな影響を与えます。とくに、専門店による施工と市販品を使ったDIY施工では、仕上がりや耐久性に明確な差が出やすいのが実情です。ここでは、両者の寿命に差が出る理由について解説します。
バイクコーティング専門店の寿命
これまで紹介してきたバイクコーティングの寿命(ガラスコーティングで3~5年、セラミックコーティングで5~7年)は、基本的に専門店での施工を前提としています。さらに、保証期間内に適切なメンテナンスを受けていることも寿命維持の前提条件となります。
専門店で施工したコーティングが長持ちしやすい理由は、施工に関するノウハウが豊富であり、特に仕上がりや耐久性に直結する下地処理を丁寧に行っている点にあります。専用の照明設備や磨き機材のほか、純水処理装置や熱乾燥装置などの高性能な設備が整っている店舗も多く、コーティング本来の性能を最大限に引き出す環境が整っています。
また、定期的なメンテナンスやアフターフォローも含めた体制があることも、寿命を延ばす要因のひとつです。ただし、すべての専門店が高品質というわけではなく、価格を重視するあまり下地処理や設備面を省略している店舗も存在します。長く効果を維持したい場合は、価格だけで判断せず、信頼できる専門店を選ぶことが重要です。
関連記事:バイクコーティングは専門店がおすすめ!失敗しないお店選びのポイントと優良施工店を紹介
DIY施工の寿命
DIYでバイクコーティングを施工した場合の寿命は、製品や保管環境にもよりますが、おおむね半年程度、長くても1年ほどとされています。これは、市販のDIY向けコーティング剤が「誰でも施工できる手軽さ」を重視して設計されており、施工時の失敗を防ぐために成分濃度を抑えているケースが多いためです。
その結果、被膜の厚さや密着力は専門店の施工と比べてどうしても劣ります。また、施工時に下地処理が不十分になりがちであること、施工後に専門的なアフターメンテナンスを受けられないことも、寿命が短くなる一因です。コーティング効果が薄れてきたら、半年~1年以内を目安に再施工するのが一般的な使い方といえます。
バイクコーティングの寿命を延ばすお手入れ方法
バイクコーティングの寿命に大きく影響するのが、日常的なお手入れです。基本は洗車で、青空駐車の場合は1〜2週間に1回、屋内駐車であれば2〜4週間に1回の頻度が理想とされています。
施工車は撥水効果があるため、軽いホコリや砂程度であれば、上から下へ強めに水をかけるだけでもある程度の汚れは落とせます。水洗いだけで落ちない場合は、中性シャンプーを使ってやさしく洗いましょう。頑固な汚れやシミがある場合、専用の除去剤を使用することもありますが、中には被膜を傷める恐れのある成分が含まれている商品もあるため、選定には注意が必要です。
通常のシャンプー洗車では落ちない汚れが出てきた場合や、光沢が鈍くなってきたと感じたときは、半年〜1年に一度を目安に専門店でメンテナンスを受けると安心です。時間が取れない場合は、施工車専用のメンテナンスクリーナーを使って被膜を補強するのも一つの方法です。使用前には、必ず施工店に適合の可否を確認しましょう。
バイクコーティングの寿命を見極めるポイント
バイクコーティングは、被膜の劣化が進行すると徐々に効果が薄れていきます。ただし「汚れが上に積もって一時的に撥水しにくくなっているだけ」のケースと「被膜そのものが劣化・剥離している状態」とでは状況が異なるため、慎重な判断が必要です。
寿命を見極める際は、まず丁寧に洗車を行い、被膜表面の汚れを取り除いたうえで撥水状態を確認することが重要です。洗車後に水の弾きが均一でなく、部分的に撥水しない箇所がある場合は、被膜の一部が弱っているサインです。全体的に撥水効果が見られない場合は、コーティングの寿命を迎えていると判断できます。
なお、こうした劣化状態では、市販のメンテナンスクリーナーでは効果を回復させることはできません。判断が難しい場合は、専門店に確認を依頼しましょう。状態によってはトップコートを再施工することで効果を取り戻せるケースもあります。
バイクコーティングの寿命に関するよくある質問
バイクコーティングの寿命について解説してきましたが、施工を検討するうえでまだまだ気になることがあるという方もいるのではないでしょうか。寿命の見極め方やそれを伸ばす方法に関する知識は、施工後に役立ちます。ここでは、コーティングの寿命に関する4つのよくある質問に答えていきます。
バイクコーティングが劣化するとどうなる?
バイクコーティングの被膜が劣化すると、まず撥水効果が低下し、雨のあとは汚れが付きやすくなります。汚れが固着しやすくなるため、水をかけるだけでは落ちにくくなり、洗車の手間も増えてしまいます。
軽度の劣化であれば、中性シャンプーで洗車することである程度撥水が回復することもありますが、劣化が進行している場合は水を弾かず、洗車しても効果が戻りません。このような状態を放置すると、被膜は完全に効果を失い、塗装が無防備な状態になります。
バイクコーティングは10年持つ?
セラミックコーティングのような高性能な製品でも、一般的な寿命は5~7年程度とされています。10年の耐久性を保証している商品でなければ、10年間効果を保つのは現実的には難しいでしょう。
ただし、定期的な洗車やメンテナンスを継続すれば、効果をより長く維持することは可能です。実際に、5年以上ガラスコーティングの効果を実感しているユーザーも少なくありません。寿命には、保管状況や駐車環境といった外部要因も大きく関係します。
バイクコーティングの寿命がなくなった後はどうなる?
バイクコーティングの寿命が尽きたあとは、コーティング施工前の状態に戻るだけで、被膜が剥がれたからといって塗装自体が急激に傷むわけではありません。ただし、無防備な状態が続けば、紫外線や汚れによる影響を受けやすくなるため、再施工の検討をおすすめします。
バイクコーティングの寿命は新車と中古車で変わる?
バイクコーティングの基本的な寿命は、新車と中古車で大きく変わるものではありません。ただし、何も処理をせずに施工した場合は、塗装状態が良好な新車の方が効果が長く続く傾向にあります。
一方、専門店で施工する場合は、施工前に下地処理として不純物やシミを除去し、塗装面を磨き上げるため、中古車であっても新車に近い状態でコーティングを施すことが可能です。ただし、細かい箇所まで完全に仕上げるのが難しいケースや、10年以上使用された車両で塗装のクリア層が劣化している場合は、どうしてもコーティングの定着性や持続性に差が出る可能性があります。
適切なお手入れでバイクコーティングの寿命を延ばそう
バイクコーティングの寿命は、使用する種類によって異なります。現在主流のガラスコーティングでは3~5年、セラミックコーティングでは5~7年程度が一般的な目安です。ただし、これは「何もしなくても持つ期間」ではなく、こまめな洗車や定期的な専門店でのメンテナンスによってコーティングを補修しながら効果を維持することが前提となります。
また、普段のお手入れの頻度や駐車環境、施工を行った店舗によっても寿命は変わってきます。特に、専門店と市販品によるDIY施工では、下地処理や使用機材の違いから、耐久性に大きな差が出る傾向があります。
施工後は、適切な洗車と定期的なメンテナンスを欠かさず行い、コーティングの効果をできるだけ長く維持することが大切です。半年〜1年に一度は専門店での点検や補修を受けるようにしましょう。品質を優先したい場合は専門店での施工をおすすめします。

著者情報
株式会社カービューティーアイアイシー
代表取締役社長 舊役 哲史
2008年にガラスコーティング専門店の株式会社カービューテイーアイアイシーに入社
現在まで2,000台以上のカーコーティング,ガラスコーティングの施工実績を持ち、特に輸入車などの施工実績が豊富である。カーコーティングのオプション作業としてホイールコーティングの実績も豊富で様々な知識と技術力を有す。